どうも。ふくた(@fukushienblog)です。
生活支援員やってるんだけど、イマイチ利用者(障がい者)さんとの接し方が分からないんだよね。どうすればいいのかな?
こうした疑問にお答えします。
利用者(障がい者)とのコミュニケーションの取り方はいろいろと工夫が必要です。ここでは、現役生活支援員の私が実際におこなっている接し方を紹介します。
- スゴ腕生活支援員の障がい者との上手な接し方5選
- スゴ腕生活支援員になるための心がまえ
▶︎本記事の信頼性
生活支援員を目指している方ばかりでなく、身内に障がい者がいる方、障がい者に興味のある方にとっても有益な情報だと思います。
本記事では、現役生活支援員の私が、利用者(障がい者)との接し方について解説していきたいと思います。
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誰も語らなかった!スゴ腕生活支援員の障がい者との上手な接し方5選
生活支援員の仕事相手は、主に障がいを持っている方です。
自閉症や知的障がいなど、症状は様々ですが、共通しているのは意思疎通が難しく、コミュニケーションが取りにくいことです。
しかしながら、相手と良好な関係を築く近道はあります。
それは、健常者との人間関係を築くことと、あまり変わりがないかもしれません。
そんな生活支援員の障がい者との上手な接し方を、5つ紹介したいと思います。
- 相手(障がい者)の精神年齢に合わせて接する
- 相手(障がい者)と適切な距離をとる
- ジャスチャー(身振り・手振り)を使う
- 行動の見通しが持ちやすいような声かけをおこなう
- 次の行動がひと目でわかるようなカードなどを用意する
ひとつひとつ順を追って解説していきたいと思います。
相手(障がい者)の精神年齢に合わせて接する
生活支援員は障がい者の精神年齢に合わせて接することを心がけましょう。
重度の知的障がい、自閉症の人は実年齢と精神年齢に差があるからです。
実年齢が20歳でも精神年齢は0歳児、実年齢が35歳でも精神年齢は3歳児のような感じです。
知的障がいの現れ方は以下のようになります。
誤解されることも多いが、IQは「頭の良し悪し」を検査するものではなく、精神発達のスピードを示すもの。その人の知能が、実際の年齢に比較してどの程度に達しているかを検査する。知的障害とは、実際の年齢と知能の発達段階に差がみえる、発達のスピードが遅いのであって、知的能力や適応能力が成長しないわけではない。
WHO(世界保健機関)では、IQ50~69(精神年齢9~12歳未満)を軽度、IQ 35~49(精神年齢6~9歳未満)を中度、IQ 20~34(精神年齢3~6歳未満)を重度、知能指数20未満(精神年齢3歳以下)を最重度としている。この精神年齢から発達の程度をイメージすると分かりやすいだろう。
例えば、軽度(精神年齢9~12歳未満)の場合、言語の習得は少し遅れるものの日常生活にはほぼ問題がない。学業面では、中学生以上で困難をきたしやすい。一方、最重度(精神年齢3歳以下)の場合は、食べること、トイレに行くこと、衣服の脱ぎ着などが困難なため、自立した生活や就職は難しい場合が多い。
また、知的障害者は身体麻痺などの身体障害、てんかんなどを抱えている場合もある。
参考:ATARIMAE PROJECT
多くの障がい者施設や事業所では、たとえ障がい者といえども成人には「〇〇くん」や「〇〇ちゃん」、呼称などではなく「〇〇さん」と呼んで大人あつかいするように指示されます。
言わんとしていることはわかりますが、これは表面的なことにすぎません。本質的には、対大人としての接し方をしても相手(障がい者)にそれを理解する力がない以上、正しい接し方とは言えないのです。
職場によっては、一般企業でよくやるような接遇(マナー)研修などを受けることもあります。
はっきり言って、ムダです。
それよりも、幼稚園や保育園の先生たちの子供に対する接し方を学んだほうがより実践的と言えます。
幼稚園や保育園の先生は、子供の気持ちをいち早く察して、良い方にコントロールするプロです。学ぶところはたくさんあると思います。
生活支援員が接する障がい者は、見た目は大人でも中身は子供のままであることを理解して接していく必要があります。
相手の精神年齢がどれくらいかを考えて、相手の目線に立った関わり方を心がけていきましょう。
相手(障がい者)と適切な距離をとる
生活支援員は障がい者と接する時は適度な距離感を保つように心がけましょう。
距離感を誤ると、相手のこだわりやパニックを引き起こす原因になるからです。
以下、障がい者のこだわりの例です。
- 日課のいたるところで動けなくなる
- 衣服やぶりや衣服ぬらし・汚し
- 水飲みを繰り返す
- 行きつ・戻りつの反復行動
- 気になるものがあるとそれしか目がいかなくなる
- 便を壁にぬりたくる・尿を床にまき散らかす
- 着ていく衣服の着る順番
- 歩行中、目にとまったものはなんでも投げ捨てる
- 手に触れたものは口にいれる
- 壁や柱をたたく
他にもいろいろありますが、ここであげたのは主に物などに対するこだわりです。
障がい者は人にもこだわります。
接してくる相手と相性が良かったり、発する言葉が自分の中のキーワードとあっているとこだわってきます。
エスカレートしてくると、まるでストーカーのようにつきまとったり、その人がいないと動かなくなったりします。
そういう事態を避けるためにも、生活支援員は相手に入り込みすぎないように注意しながら接していかなければなりません。
また、不意に後ろから声かけをおこなったり、距離をつめるとパニックを起こしたりします。
生活支援員は障がい者と接する時、適切な距離感と言葉がけに気を配っていきましょう。
ジャスチャー(身振り・手振り)を使う
重度の知的障がい、自閉症の人との意思疎通は難しい場面が多いです。
ですが、ジャスチャーはわかる人が多いです。それは、身振り・手ぶりが障がいを持っている人でも分かりやすいからです。
以下、その具体例となります。
- 手まねき→「こっちにきてね」
- 指差し→「あっちに行こうね」
- イスに指差し→「ここに座ってね」
- 服の胸元をゆらす→「着替えようね」
- 指を下に向ける→「ズボンを脱ごうね」
- 指でハサミを作って髪をチョキチョキする→「髪切りに行こうね」
- 手で半円を作って口元に持ってくる→「お茶を飲もうね」
- 手のひらを左右にゆらす→「フキンでふこうね」
- 腕で円を作る→「OK やってもいいよ」
- 腕で交差を作る→「NG やっちゃだめだよ」
他にもありますが、こういう簡単な動作であれば、自分がやることを理解できる障がい者は多いです。
ピースサインとかもわかるのかな?
おそらく、分からない人が大半だと思います。
ピースサインは写真を撮るときなど、使われどころが限られているのと、Vサインが何を意味しているのか分からないからです。
昔の私もそうでした。
つい、健常者相手の感覚でピースサインを出してしまったり、謝るときに合掌してしまったりすることがありました。
キョトンとした表情を見て、すぐに意味が分かっていないことがわかりました。
変な認識をもたれると困るので、すぐにやめました。
身ぶり・手ぶりは日常生活でもよく使われる動作なので、障がい者にも定着しやすいのです。
生活支援員はジェスチャーをうまく取り入れて、障がい者と接するようにするといいでしょう。
行動の見通しが持ちやすいような声かけをおこなう
生活支援員は障がい者が見通しをもって行動しやすいように言葉がけに気をつける必要があります。
意思疎通の難しい障がい者であっても、言葉によるコミュニケーションは欠かせません。
相手がどうせ分からないだろうと思って、対話しないのはよくありません。言葉の意味は分からなくても、言葉のニュアンスを感じとっているケースがあります。
生活支援員ではないですが、相談員の基本的な関わり技法の中で「感情の反映」というものがあります。
「あなたは・・・と感じているようですね」「あなたは・・・と感じているように聞こえますが。」と いうようにクライエントの話すことの情緒的な側面に焦点をおく。 クライエントが彼の感情に気づくのを助ける。クライエントが経験している内的世界を面接者が理解しているということを示す。
参考:相談の技法(1)
これは、発話や対話のできない障がい者にも応用できます。相手の気持ちを推察して、生活支援員側が言葉にするということです。
以下、その具体例です。
- 転んだ→「足打ったんだね。痛かったでしょ?」
- 食事が進まない→「お腹の具合が良くないのかな?」
- ものを投げた→「さっき扉にぶつかったのが気にさわったんだね」
- 寝転んだ→「仕事で疲れちゃったんだね」
- 座り込んだ→「蒸し暑いから歩きたくないんだね」
相手の気持ちを代弁するような言葉がけをすると、言葉の意味が分からなくてもその表情や仕草でニュアンスを感じとれるようになります。
次の行動を促す言葉がけも大切になってきます。
「これ終わったらトイレに行こうね。」「次は食事の時間だよ。」「この次は散歩に出かけようね。」
生活支援員側では分かりきってることでも、それを障がい者に言葉がけし続けることで、その言葉と次の行動がわかるようになってきます。
「これ終わったらトイレに行こうね。」と話てからトイレに向かうのを続ければ、「トイレ」という言葉がいつの間にか障がい者の中で定着してきます。
生活支援員は障がい者が見通しをもって行動しやすいように、常に言葉がけをしていく必要があるのです。
次の行動がひと目でわかるようなカードなどを用意する
生活支援員は障がい者が見通しをもって行動しやすいようにするためには、言葉がけ以外にも分かりやすいカードなどを使用することが有効です。
言葉の意味が分からない障がい者でも、絵やイラストならば理解しやすいからです。
以下、ピクトグラム(絵文字)の使用例です。
「送迎車」「車で移動」「出発進行」 | |
「食事」「外食」 | |
「音楽」「音楽会」「音の出る玩具」 | |
「創作活動」「美術」「アート」 | |
「予防接種」「健康診断」「医師の訪問」 |
同じピクトグラムでも、例えば施設や事業所の外でやるのか、中でやるのかによって色分けしたりすると、障がい者には分かりやすいです。
さらに、障がい者が実際にやっているところを映した写真や、時刻などをいっしょにそえると一層効果的です。
生活支援員は、言葉がけ以外の方法も支援に取り入れるようにしましょう。
スゴ腕生活支援員になるための心がまえ
生活支援員として、スキルアップしていくために一番大事な心がまえは
利用者(障がい者)の気持ちに徹底的によりそうこと
これに尽きます。
例え、意思疎通の難しい障がい者であっても、自分に対していやじゃない、気持ちの良い接し方をしてくる生活支援員に対しては感情的になりにくいのです。
極力、相手(障がい者)が動くまで待ったり、呼ぶときもやさしい口調やソフトタッチを心がけるということです。
人間はどうしても自分本位で相手を動かしがちです。
意思疎通の難しい障がい者相手では、急に興奮したり、パニックを起こしたりとよくない方向に向かうケースがよくあります。
生活支援員が接する障がい者は、思っている以上にデリケートな存在であることを覚えておきましょう。
生活支援員のきつさに関しては生活支援員がきついと言われる5つの理由【3Kだけじゃないよ】に記事を書いています。よろしければそちらも合わせてご覧になって下さい。
誰も語らなかった!スゴ腕生活支援員の障がい者との上手な接し方5選:まとめ
いかがでしたか?
現役生活支援員の私が、利用者(障がい者)との接し方について解説していきましたが、お分かりになっていただけましたでしょうか。
- 相手(障がい者)の精神年齢に合わせて接する
- 相手(障がい者)と適切な距離をとる
- ジャスチャー(身振り・手振り)を使う
- 行動の見通しが持ちやすいような声かけをおこなう
- 次の行動がひと目でわかるようなカードなどを用意する
いずれも相手の気持ちに寄り添う姿勢が大切になってきます。
相手が意思疎通の難しい障がい者だからといって、こういう人間的な部分をおこたると、いつまでたってもコミュニケーションは進んでいきません。
障がい特性にだけは気をつけて、健常者に接するような感覚だけは失わないようにしましょう。
番外編ですが自閉症と高機能自閉症を米津玄師さんを例にして記事に書いています。
⇒米津玄師さんから学ぶ高機能自閉症と自閉症の違い
以上となります。
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